"はんぶんこ"は、とっっっても大きな愛だった

2020年6月24日、ジャニーズWESTの14枚目のシングル「証拠」がリリースされました。

 

 

「証拠」は様々なテレビ・ラジオ等で披露されている通り、踊らずに歌唱にパラメーターを全振りした、爽やか格好良くエモく優しく温かい応援歌です。

(……もっといい文章で紹介されているところはいくらでもあるので、そちらを見てほしい……そして聞いてほしい……)

「証拠」が本当にいい曲なのは言うまでもないのですが、今回はカップリングの「はんぶんこ」にどうしても言及したくて、この記事を書いています。

「はんぶんこ」の"はんぶんこ"

とっっっても大きななんですよ!!という話。

 

※個人の感想ですので、すべての語尾に「知らんけど」を付けて読んでもらえると有難いです。

 

はじめに、「はんぶんこ」とは…

「はんぶんこ」は作詞が「ジャニーズWEST/MiNE」となっている通り、ジャニーズWEST全員で作詞に挑戦した曲です。ソロパートが7人それぞれの作詞箇所となっています。重岡さん発案の今回の取組みは、今後のジャニーズWESTの方針というか、進んでいきたい道への一歩でもあるのかな、と思います。

 

「はんぶんこ」の歌詞のここが良い!

メンバーの言葉を生かしたが故の表現の揺れ

メンバー個々の言葉を大事にするために細かい修正は入っていません。そのため、漢字の「一人」と数字の「1人」が混在している等、表記揺れが存在します。

通常であれば統一されていたであろう表現も、メンバーのそのままの言葉だという実感を与えてくれる良い味になっています。

 

統一された「僕」と「君」

一方で、一人称と二人称は全編を通して「僕」「君」で、全て漢字です。

「私」というと畏まった堅い雰囲気が出てしまうし、「俺」というよりは「僕」のほうが柔らかくて優しい響きで、この曲に合っています。また、「あなた」でも「お前」でもなく「君」という二人称は親しみと安心感があります。

メンバーそれぞれの作詞でありながら、全体としての統一感を生んでいます。

 

対応のある歌詞、対応のない歌詞

メンバーそれぞれが考えた歌詞であるものの、対応関係のある箇所も存在します。これも統一感を生む1つのポイントです。一番分かりやすいのは、桐山さんと藤井さんのソロですね。

 

桐山さんパート

雨がポツリこんな日にでさえ (Anytime)
同じ傘2人で"はんぶんこ" (Oh Oh)
「濡れるって!」笑顔で押し合って 同じ未来(みち)歩こう

 

藤井さんパート

涙ホロリそんなときだって (Anytime)
僕も泣くから"はんぶんこ" (Oh Oh)
「なんで泣くの!」って君が笑う また笑顔重なり合う

 

カタカナの擬音語の使い方や、「」の使い方が同じです。他にも、中間さんと濵田さんのソロも、「きっと○○や○○は~」が対応しています。
更に、Aメロは桐山さん藤井さんに加え、重岡さんも同じ部分で"はんぶんこ"を使っています。作成過程がとても気になります。誰が先に作ったのか、とか、あえて揃えたのか、とか。(濵田さんが最初にできたみたいですね@レコメン)


そんな中で、Aメロであえて"はんぶんこ"の場所を外してきているのが神山さんです。これが良いフックになっています。そして、後述しますが、"はんぶんこ"の意味合いも神山さんだけ違います

 

「はんぶんこ」における"はんぶんこ"とは

「はんぶんこ」という曲において、"はんぶんこ"という単語は重要なキーワードとして、ダブルクオーテーションで強調されています。

"はんぶんこ"のスタンダードのイメージは、1つを半分に分け合うイメージでしょう。ただ、この曲における"はんぶんこ"あるいは"はんぶん"の意味合いは、それだけではないように思います。

 

スタンダードな"はんぶんこ"

前述のスタンダードな意味として"はんぶんこ"を使っているのは以下のメンバーです。
・重岡さん (涙)
・桐山さん (傘)
・中間さん (孤独や不安)
・藤井さん (泣く/涙)
特に、重岡さん中間さん藤井さんはマイナスなものを半分にしたら軽くなるよね、という意味が強いです。

 

"はんぶんこ"は、1/2+1/2=1 ではない

正直、ここからが一番メインです(前置きが長い)。

最初にはんぶんこを聞いた時、神山さんパートで違和感を覚えました。

 

退屈な毎日にも 何処かに咲いている愛
"はんぶんこ"ずつ持ち寄ってさ
合わせ大きな愛にしよう

 

"はんぶんこ"ずつ持ち寄っても1にしかならないよね?大きな愛は過剰では?

というのも、この段階における登場人物は「僕」と「君」の2人なので、2人の半分を足し合わせても1でしょ、と思ったんです。


ところが、これが濵田さんパートによって納得の歌詞に変わりました。

 

僕らのはんぶんは君だからさ

 

ここで初めて出てくる「僕ら」という複数形。深読みせずに、単純にここまでの歌詞を読めば、「僕ら」というのは「僕」と「君」で、その半分が「君」なのは当然でしょ、というだけなのですが……これはジャニーズWESTの曲で、しかもメンバーが作詞した歌詞で、そこで出てきた「僕ら」なんですよ。この「僕ら」がジャニーズWESTを指して、「君」がこの曲を聞くファンと解釈することもできます。

 

そうなると、神山さんパートにおける"はんぶんこ"ずつ愛を持ち寄るのは、ジャニーズWESTとたくさんのファンとなります。

そりゃあ、はんぶんずつの持ち寄りでも、

大きな大きな、とても大きなになること間違いなし。


実際、先日の藤井さん作成の「はんぶんこ」動画で、この「僕ら」がジャニーズWESTで「君」がファンであることが明示されました。そして、神山さんが7本のレインボーローズを持っていたことを見るに、神山さんのそもそものイメージは、「僕」と「君」の2人ではなく、「僕ら」と「君」の複数であったことが分かります。

 

"はんぶんこ"に込められた特大の愛

そして、ダメ押しが小瀧さんパートです。唯一、「はんぶん」も「僕」も「君」も使っていないパートです。

 

幸せのカケラ 拾い集めて
誰かに分けられる人になろう

 

ここにきて出てきた「誰か」は、ジャニーズWESTでもなく、この曲を聞いているファンでもなく、家族友人同僚や、あるいは道ですれ違うだけの他人かもしれません。"はんぶんこ"とは表現されていないけれども、「拾い集めて分ける」のは"はんぶんこ"することとほぼイコールとも考えられます。

小瀧さんパートによって、"はんぶんこ"する対象がジャニーズWESTやファンの周りの人たちにまで広がっています

どこまで意図されたものかは分かりませんが、1曲の中で"はんぶんこ"のスケールが確実に大きくなっていて、この曲を聞いていない誰かに向けてさえ優しい曲になっています。

大きな愛、それも特大も特大のとっっっても大きな

が詰まった曲なのは間違いありません。

 

最後に

ラジオで小瀧さんが「これからみんなで育てていきたい」といった趣旨の発言をされていました。この曲はもちろん今もいい曲なんですが、これからライブだったり、テレビやラジオだったりで歌われる度に、いろんな人の愛が乗り合って、さらに思い入れが深く、大事な曲になると思います。

コロナの影響で次のライブがどうなるか、はっきりと見えてはいないけれど、いつか大きな会場で、この曲を歌うWESTさんが見たいと切に願っています。